キングダム

キングダム 韓非子と信の問答と法家の思想「性悪説」をわかりやすく解説

キングダムの70巻では韓非子(かんぴし)が登場しました。

「最近のキングダムはパッとしなかったけど、久しぶりに面白いな!」と感じた人もいれば、「法家とか善悪とか、文字が多くて小難しいし退屈だったな・・・」と感じた方もいらっしゃるでしょう。

私はどちらかというと「面白かったな」と感じている派。

今回の韓非子編を考察することで、今後のキングダムをより面白くするスパイスになるだろうと考えています。

当記事では、韓非子と信の問答についてよくわからなかった人向けに、わかりやすく情報を整理して解説・考察をしていきます。

法家と儒家

キングダム70巻の韓非子編を理解する上で、事前に必要になる知識は法家(ほうか)と儒家(じゅか)の思想についてです。
これを知っておかないと韓非子と信の問答はポカーンとなる可能性があります。

  • 法家とは
    国家を法律で収めようとする思想、学者のこと。
  • 儒家とは
    国家を道徳で収めようとする思想、学者のこと。

法家と儒家は相対する関係にあり、キングダムに登場した韓非子は法家にあたりますが、韓では儒家の思想が根付いているわけですね。

法家は、法律を作り、悪いことをする人間には厳しい罰則を課すことで秩序を作るべきだと考えています。
つまり、「人間は悪いことをする生き物である」という前提で人々をまとめようという考えなわけです。

逆に儒家は、徳のある人間を指導者とし、人に「仁」「礼」などの道徳を根付かせることで秩序を作るべきだと考えています。
つまり、「人間は善良な生き物である」という前提で人々をまとめようとしているのです。

まとめると下記のようになります。

法家儒家
人間の本性は悪人間の本性は善
人間を信じていない人間を信じている
現実主義理想主義

そして、法律で収める国を「法治国家」と呼び、道徳で収める国家を「徳治国家」と呼びます。
中国は法治国家と徳治国家が代わる代わるで時代を巡っていきます。

キングダム韓非子編の流れ

キングダムの韓非子編では性善説と性悪説の話が出てきました。

前述した「法家」と「儒家」についてわかっていれば、すんなりと話が入ってくるはずです。

法家は性悪説、儒家は性善説をもとにする考え方であるはずが、秦王の嬴政は性善説なのに韓非子や李斯を支持しているのが矛盾していると韓非子は言っているのです。

それに対して信は「法家の最上位の韓非子は真面目に人間のことを考えてるわけだから逆に性善説だろ」というわけですね。

こうなってくるとワケがわからなくなってくるかもしれませんが、それをまとめる考え方が信の論じた「火」です。
「善か悪か」の二元論とは別の切り口で人間を説いたのです。

つまり、信の考えは「人間は善と悪の両面を合わせ持つが、時を経て思いを繋いで成長する生き物だ」と論じているのだと私は解釈しています。

韓非子編のどこが面白かったのか

キングダムの韓非子編で私が面白いなと感じたのは「キングダムの始皇帝」と「歴史の始皇帝」の差です。

中国の歴史は「徳」というキーワードをテーマに時代が変わります。
大抵の場合は、「君主の徳があったから国が栄えた」「君主の徳がなかったから国が滅びた」という流れなのです。

それでは、嬴政が国を統一して始皇帝になったときはどうだったのかというと、「始皇帝は徳がなかったから国が滅びた」というのが歴史の一般的な解釈なのです。

始皇帝と李斯は将来的に焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)と呼ばれる儒家への弾圧を決行します。
そんな歴史を知っていれば、キングダムを読んでいて「嬴政がこんないいヤツなわけねーだろ笑」と感じながらも読み進めてしまうわけで。

そこでキングダムの作者・原先生は「始皇帝には徳があったけど、李斯という法家を丞相としていた」という歴史のイメージに相対する考察をしているのではないでしょうか。

儒家思想と法家思想のハイブリッドが韓非子の言う通り「クソ以下のものが生まれる」のか、はたまた「より良いものが生まれる」のかワクワクする内容でした。
筆者は、相対する意見がある場合にハイブリッドでより昇華させたがるタイプの人間なので、経験上どちらの結果にもなり得るのが何となくわかる気がします。

今後のキングダムでは性悪説と性善説、法家と儒家の考え方が、本能型と知略型のような根幹的概念として物語に組み込まれていくかもしれません。

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まとめ

キングダム70巻の韓非子編について解説してみましたが、いかがだったでしょうか。

「韓非子を読んでみたくなった!」という方もいるかと思います。
韓非子も良いですが、私から別のもので何冊かオススメをご紹介します。

蒼天航路

〈電子書籍/コミックの品揃え世界最大級〉【ebookjapan(イーブックジャパン)】

当サイトで何度かオススメしていますが、三国志の曹操孟徳が主人公の漫画「蒼天航路」です。
作中では曹操が「法家の怪物」と呼ばれており、儒教との対立関係がイメージしやすいのがとても良い。
韓非子の問答が面白く感じたなら絶対にオススメの漫画です。

蒼天航路 1巻を読む

論語

孔子の教え、つまり儒教の心得がまとめられた一冊。
「当たり前のようなことが書かれているんだな」と感じたら、道徳があなたに浸透している証拠。
当たり前のことも、普段から実践するのは難しいものですが・・・笑

孫子の兵法(用間篇)

当記事の趣旨とは外れますが、韓非子編で間者(スパイ)の話に繋がっていきます。
孫子の兵法の用間篇では間者の大切さが説かれています。
全文はこちらのサイトで読むことができます。

孫子の兵法 全文(現代語訳)

今後のキングダムをより楽しむためにも、ぜひ読んでみてください。

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